LGBTQ+に関する取り組み
1. 性の多様性について考えましょう
性には、生物学的な性(からだの性)、性自認(自分の性をどのように認識しているか)、性的指向(恋愛感情や性的な関心がどの性別に向いているか)などの要素があります。
性的指向(Sexual Orientation セクシュアル・オリエンテーション)
「男性が男性を、女性が女性を好きになる」ことに対しては、根強い偏見や差別があり、苦しんでいる人々がいます。性的指向を理由とする差別的な取り扱いについては、不当なことであるという認識が広がっていますが、いまだに偏見や差別が起きているのが現状です。性的指向が定まらない人や揺れ動く人、あるいは持たない人もいます。
性自認(Gender Identity ジェンダー・アイデンティティ)
自分で認める性別と生まれたときに決められた性別が異なり、周囲の心ない好奇の目にさらされて苦しんでいる人々がいます。出生時に決められた性別とは異なる性自認をする人を、トランスジェンダー(Transgender)といい、社会生活上の支障をきたしたり、職場や学校、地域社会で嫌がらせやいじめ、差別を受けることがあります。性自認が定まらない、または、どちらでもない、あるいは決めつけたくないと感じる人もいます。
大切なのは、その人がどれにあてはまるかを考えることではなく、その人が何に困っているのかを一緒に考えることです。性的マイノリティの代表的なカテゴリーであるレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニングの頭文字をとって「LGBTQ(エル・ジー・ビー・ティー・キュー))」と表現され、性的マイノリティの総称としても使われています。LGBTQ以外にも、性的指向や性自認を持たない人等もおり、「LGBTQ+」とも表現されます。また、「LGBTQ」と「そうでない人」というような、はっきりした境界があるわけではありません。
性的マイノリティの人は全人口の約3から10パーセントといわれています。全人口の10パーセントというと、約10人に1人の割合です。みなさんの周りにも、誰にも相談できず、生きづらさを感じて、一人で悩んでいる人がいるかもしれません。
人はみんな違い=個性があるから尊く、ひとそれぞれの個性が生かされて社会ができています。 自分の性別をどう考えるか、どんな性別に惹かれるか/惹かれないか、それも個性の一つです。違いを認め、互いの人権を尊重しあう社会を共に築きましょう。
2.大阪府の取り組み(性的マイノリティの人権問題について)
性のあり方は人それぞれ異なります。価値観や考え方の広がりを持って、さまざまな性のあり方が存在することを当たり前のこととし、それに対応できる社会を築いていくことが必要です。「大阪府人権尊重の社会づくり条例」に基づき、全ての人の人権が尊重される豊かな社会の実現を目指していますが、性的マイノリティ(少数者)については、いまだ社会の多数派とは異なるものとして、差別や偏見を受けるなど、苦しんでいる人々がいるのが現状です。
こうした中、大阪府では、性的指向及び性自認の多様性が尊重され、全ての人が自分らしく生きることができる社会の実現をめざし、「大阪府性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例」を令和元年10月30日に施行しました。性的マイノリティに対する誤解や偏見、差別をなくし、当事者が抱える課題の解決に向けて、性の多様性に関する理解を深める施策に取り組んでいます。
性的マイノリティの人権問題について取り上げている人権教育教材や啓発冊子を、大阪府人権局のホームページに掲載しています。
3.企業向け理解セミナーの開催
専門的な知識を持つ方や、先進的な取り組みをおこなっている企業を講師に招き、企業に求められるLGBTQ+の性的マイノリティへの理解や職場環境改善等の取り組みをお伝えするセミナーを開講しています。また、みなさまからいただいた意見の中で、企業のみなさまにお届けできるものを集約し、発信します。
※令和6年2月21日開催~LGBTQ等の理解と受入れ準備~の様子
LGBTQ+の基礎知識を学びたい、社内での新たな取り組みを検討したい場合は、中小企業人材支援センターまでご相談ください。また、随時実施する企業向けセミナーにもぜひご参加ください。
企業向けセミナーはこちら
なお、大阪府の労働環境改善事業では、性的マイノリティの方々を含む従業員全員の職場環境向上に向けた取り組みを行っています。性的マイノリティの当事者も含め、だれもが働きやすい職場環境の整備に取り組む企業の実際の取り組み事例については厚生労働省ウェブサイトをご覧ください。
4.ハラスメント防止対策の強化について
2020年6月1日より、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました。これに伴い、パワーハラスメント防止措置が事業主の義務となりました。
※中小企業主は2022年4月1日から義務化されます。
職場における「パワーハラスメント」とは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①~③までの要素を全て満たすものをいいます。
※ 客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、該当しません。パワーハラスメントにはSOGIハラやアウティングも含まれています。
大阪府労働相談センター(労働環境課)では、労働関係法令の基本事項やハラスメントについての研修会へ無料で講師(大阪府職員)を派遣します。
詳しくは、HPをご覧ください。
基本用語説明
- LGBTQ+…
L(レズビアン):女性を好きになる女性、
G(ゲイ):男性を好きになる男性、
B(バイセクシャル):女性も男性も好きになる男性、
T(トランスジェンダー):自認する性と出生時に割り当てられた法律上の性が異なる人、
Q(クエスチョニング)※:性のあり方を決めない・決めたくない人、
+:ほかにも様々な性のあり方があることを包括的に表現しています。
これらの頭文字をとってできたLGBTQ+は性的マイノリティの総称として使われています。
※「Q」はQueer(クィア)をさすこともあり、元々は「変わった、奇妙な」などを表す言葉だったものが、当事者が前向きな意味で使い出した経緯があります。 - SOGI…Sexual Orientation(性的指向)とGender Identity(性自認)のこと
- アウティング…本人の了承を得ずに、その人の性のあり方を周囲に公表すること
- 「性の多様性に関する啓発リーフレット」
- 「知る・学ぶ・考えるDIVERSITY 性の多様性を考えるガイドブック」
- 大阪府参加体験型学習のための人権教育教材「さまざまなカタチ 性の多様性(性的マイノリティ)の人権問題を学ぶ」
- 大阪府人権白書「ゆまにてなにわ38 わたしもあなたも全員主役!」
- おおさか人権情報誌そうぞう
- 性的マイノリティの人権問題について /人権教育教材、啓発冊子について
(参考資料)
大阪府 人権局 発行冊子:
大阪府 労働環境課:
厚生労働省: