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課長代理の新井氏(右)、係長の井上氏(左)、主任の遠藤氏(中央) 課長代理の新井氏(右)、係長の井上氏(左)、主任の遠藤氏(中央)

男性育休制度義務化でワーク・ライフ・バランスが改善!家族からも喜びの声!

「男性育児休業の制度化・義務化」→「取得へ向けてチーム意識変化」→「育休男女取得率100%達成」
interviewee
西川産業株式会社 
管理部 課長代理 新井宏明 / 係長 井上真理 / 主任 遠藤麻里
本社所在地:大阪府大阪市東淀川区瑞光2-6-21/創業:1949年/従業員数:183名/業種:卸売・小売
工場などの生産現場に対する機械・工具とそれらに対するサービス全般を取扱う専門商社。70年以上の実績をもとに今年は「スピーディな環境変化に真摯に対応しよう」のスローガンを掲げた前向きな事業展開を行っている。

1カ月特別有給扱いでの「男性育児休業」を導入されたきっかけから教えてください。

新井氏:きっかけは社長の考えです。女性活躍を進めていくためにも、ダイバーシティを推進していくためにも、男性社員に育児休業を取ってほしいと社長はずっと言っていました。ただ営業の現場では、そうはいってもなかなか取れないといった意見が大半で、間接部門で一人2カ月間とっただけでまったく進まない。だったら男性育休が当たり前のこととして軌道に乗せるために制度化・義務化しましょう、となったわけです。

導入までの流れや、具体的な課題克服はいかがでしたか。

新井氏:一昨年の「試験運用の準備」(2019年10月)と「試験運用」(2020年2月)、取得社員の声を反映しての「制度設計」を経て、実際の「運用」(同年9月)へと進んでいきました。試験運用を始めるにあたっては、取締役全員を集めて講習を行い、まずは3歳までの子どものいる全男性社員をピックアップしてやってみようと説明し、社員とその所属長に対しても説明や取得調整をしたうえで納得してもらいながら進めていきました。

井上氏:いろんな声がある中で「給料が減る」という不安には、取得期間1カ月は「特別有給休暇扱いにして収入が減らない仕組みづくりを行いました。取引先への引継ぎの挨拶については、不安に思う人は多かったのですが、実際は「西川産業さんは進んでいるね」という声を思った以上にいただいたようです。継続中の案件は「見える化」することや定期面談の仕組みづくりをして周りがフォローできる流れを作っていきました。このことは、業務が属人的になることへの解消にもなりますし、休むと申し訳ないということより、「誰が休んでも機能するチームを作らないといけない」という意識変化に繋がります。社長も繰り返し言い続けている大事な点です。あとは、冊子マニュアル『育児休業・介護休業復帰プログラム』の作成や、『ダイバーシティ通信』(2017年からの全33号分を冊子化)を毎月発行するなど、不安解消に向けた情報発信も行っていきました。

成果と、今後の方向性について、教えてください。

井上氏:試験運用時から育休取得率、復職率ともに男性女性100%を達成しています。「子育てや介護をしながらしっかりキャリアアップできる環境」を当社の目標としていますが、そのためには男性社員本人が当事者意識を持ち、育休を当たり前だと思って取得できる社風を作っていきたいです。採用時においても福利厚生の一環としてPRになっていると思います。

遠藤氏:昨年9月に「男性育休取得者フォローアップ研修」を行いました。20名近くになる育休取得者全員参加の話し合いは非常に珍しいと外部講師の方も言っておられましたが、いろいろな意見を共有できたのは、今後の風土醸成に向けても非常に良かったと思っています。

井上氏:取得者にアンケートをしましたが、全員が育児休業を取得して良かったとの意見でした。「家族から喜ばれた」という声や「平日一人で子どもの相手するのと、夫婦共同で行う家事育児では大変さがまったく違う」との意見や、奥様から「心の余裕が持て、子どもとも笑顔で接する時間が増えました」といった声もいただいていました。

最後に男性育休に対する他社へのご助言をお聞かせください。

新井氏:まずはやってみて、問題点が出てくれば改善しながら進めていき、期間も最初は1週間から始める等が良いのではないでしょうか。「無理」との意見には「なぜ無理なのか」「どうすればできるようになるのか」を一緒に考え、一つずつ潰していく。これが男性育児休業運用の近道だと思います。可能な限り、上席の理解者・協力者を作ることや、周りが快く送り出すことが大切で、快く送り出してもらった人は次に自分もそうやって送り出します。お互いさまの精神、その意識をもって周りが取得者の背中を押していくことが、男性育児休業の取得促進に繋がると思います。

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