人材価値を活かし、建設業界を "建て直す"
雇用不安に悩まずキャリアを伸ばす
人手不足に悩む業界でも、人材価値が活かされていない現状がある。たとえば、出産や育児によってキャリアブランクがある人材や、個々の事情により時間に制約がある人材などは、スキルや意欲があったとしても、正社員雇用の機会に恵まれないことが多い。
そういった人材に視点を向け、雇用の機会を創出しているのが同社だ。新設した、現場監督の書類業務を担う「建設アシスト」職では、建設業界を経験し、CADの資格やスキルがあるものの、自由に働けない人材も活躍している。
人材価値を活かすのための工夫の一つが、駅近で通勤可能圏内のサテライトオフィスの設置。アクセスしやすい立地に営業所を設置し、通勤時間の負担を減らした。朝早くから現場に行くことができない人でも、キャリアを諦めることなく働くことができる。
また、派遣業務でありながらも、全員が正社員採用であることも大きな特徴だ。
雇用不安に悩まず働けることは、社員のモチベーション向上に大きく貢献している。加えて、現行の派遣法による3年間の期間制限がないことで、長期的なスキルアップや、情報の蓄積や共有による生産性アップも可能となった。
業界を変えるための始まり
企業という1単位ではなく、業界自体を「建て直したい」。そのような思いから始まったのが同社だ。建設業界の就業者数は、ピーク時である1997年の653万人に比べると、150万人以上減少している。また、65歳以上の労働者の割合は、全産業の中で4番目に位置しており、労働力の確保が大命題となっている。
同社は設立以来その問題に立ち向かい続けてきた。職人不足や技能継承の問題など、業界が持つ課題解決に向けて取り組んでいる。「背中を見て学ぶ」が当たり前の職人の世界に、未経験からでも3年で一人前になれる、独自の育成プログラムを構築。業界に新たな人材を招致した。
そして、次に同社が取り組んでいるのが、現場監督の残業削減。2024年からは、建設業界でも時間外労働の上限規制が適用される。同社は、現場監督の残業時間短縮を目的として、現場監督の書類業務を担う建設アシスト職を新設した。
人手不足が顕著である建設業界でも、人材を活用した生産性アップを通し、労働力を拡大するために、業界の人材層を広げたという経緯がある。
めざすのは「努力する人が報われる」社会
建設アシスト職の新設により、スキルを持った人材の労働力が失われることを防ぎ、人手不足や業務過多の問題を打開している同社。
同社がめざすのは「努力する人が報われる」社会を実現することだ。たとえ履歴書に空白があったとしても、もしくは出産や育児を経たとしても、そのスキルやバイタリティは失われていないはずだ。完全週休2日制や、駅近で通勤可能圏内のサテライトオフィスの設置など、働きやすい環境を整えることで、個人が持つ能力を発揮できるフィールドを創り上げた。
実際に働く社員からも、「時間に制約がある立場からしたら本当にありがたい」という声が寄せられており、モチベーションやパフォーマンスの向上に繋がっている。
建設業界の課題に取り組み続ける同社。しがらみや固定観念にとらわれない、革新的なまなざしを持ち、今後もさらなる改革をめざすという。