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「勇気を持って変わる」ことが
意識改革をもたらす

アベル株式会社
本社所在地:大阪府八尾市南太子堂1-1-42/従業員数:30名/業種:金属製品製造業
ステンレス表面処理及び材料販売、加工を含めた受託販売

オンリーワンのやりがい

ステンレスを黒く発色させる、「アベルブラック」という独自技術を持つ同社。八尾市に本社がある “ものづくり企業” だが、勤続年数が10年を超える社員も多く、若手からベテランまで幅広い人材が活躍している。同社の特長は、社員のモチベーションの高さだ。「きつい」と言われることが多い製造業では、社員の早期離職という課題に悩む企業も少なくないが、同社は高い定着率を誇っている。
要となるのは「社員の意識」だ。自社製品に対する誇りや自信が、社員一人一人のやりがいに繋がった。その意識を育てるため、居相社長は社員が製品をプレゼンテーションする機会を創出している。たとえば、展示会などに出展する際は営業に説明を任せ、工場見学やインターンシップ受け入れの際には現場の社員に説明を一任。「どうやっているんだ」「すごい」という外部からのリアルな声は、仕事を認められているという自信、喜びに繋がった。自社の技術を褒められることが、何よりも社員のモチベーションに結びついている。

変わるための勇断

元々は、今のように技術力を広くアピールする方針ではなかった。「アベルブラック」は、着色に不向きな金属であるステンレスを、塗装や貼り付けではなく、本来の成分を活かして黒色にする技術。高い技術力で初めて実現された、黒く美しいステンレスの需要から、世界的なクライアントとも取引があり、多くの賞も受けている。
しかし、取引先でもある競合他社からは、元々のアベルがいわゆる「下請け会社」であったことからも、「アベル」の名前を前面に出すことは反対されていた。名前を出し、日の目を浴びることをよく思われないこともあった。それでも、「このままではいつまでも変わらない」と思い、居相社長は勇気を持って「アベルブラック」を周知していく戦略をとった。それまでの取引を失うリスクもある勇断だった。

改進が呼び込む新しい風

高い技術力を発信するようになり、得られた成果は社員のモチベーション向上だけではなかった。企業の認知度が上がり、若い人材の入社も増えたことで、元々50歳近かった平均年齢が今では38歳まで引き下がっている。 また、若手社員の採用に際して、事前準備も怠らなかった。平均年齢が高い会社に急に20代の若者が入社しても、居心地の悪さから早期離職を招くと考え、中途採用のターゲット世代を徐々に引き下げるなど前準備を行った。社内に若い血が少しずつ回りだした頃、ようやく新卒を採用。やや淀んだ部分があった会社の空気は変わり、途絶えていた社内行事も再び活発化した。 自社の在り方を変えたことで、町工場から世界にも誇れるメーカーに成長した同社。社員の意識も変わり、対外的な変化だけでなく、内部からも生まれ変わりつつある。勢いよく変化をするだけではなく、長期的な計画を立てて実行をする、という姿勢も、高い定着率のままに躍進を続けている理由だろう。